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枝垂れ桜

近所に大きな枝垂れ桜の樹がある。
あまりに見事で、そこは公園なのかと思い近づいたら、個人のお宅の庭なのでした。
道路を隔てて向かいの家に届くほど。
さぞや手入れも大変かと感服するのですが。

ファイル 4-1.jpg_l 
人物がある方が大きさがわかると思って。

昨年3月、いつもより早く咲いたこの桜の写真を、お見舞いに来た娘は、病床の夫に送った。
「あの桜の写真送った、って」知らせると、夫は、もう自分で開く力もなかったのだろう。携帯は、ベッドに転がっていた。
私が開く・・・あれ?携帯のパスワードが消されている・・・頑固に人に携帯をいじらせなかったのに・・・
見せると、あぁ、いつもの桜だな、って。
それが、夫が見た最後の画像になったのかもしれない。
二日後、夫は亡くなった。

昨年は、本当に桜が早かったんだね。
病院の窓、斎場に行くまでの桜並木、帰り道、どこもかしこも桜があふれんばかりだった。
今年、一回忌、どの枝も蕾の気配すらなく、娘が、10日前に来たばかりなのに、もう一度来るというのは、きっとそれが寂しかったのだろう。桜を見たかったのだろう。

今年も見事に咲かせた枝垂れ桜の下で、大騒ぎして写真を撮る。
今日は、霊園の桜を見たいと、また墓参りに行く。
また来たのか、ってパパに笑われそう・・・何度来たって喜ぶよ。

ファイル 4-2.jpg

亡くなった後、携帯を見たら、見事に整理されていた。
私には何も言わなかったけど、覚悟していたんだね。