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ワン・モア__桜木柴乃

友人との待ち合わせに少し長い時間電車に乗る。そういう時は拓郎聴こうと・・・あ、iPodの充電忘れた!
乗り換え口のコンコースにある本屋に寄った。手軽に読める薄い小説がいい。ぱっと手に取り、ぱらっとめくったら「拓郎」の名前が飛び込んできた。登場人物に「拓郎」がいる。それだけのことで、この本に決めた。桜木柴乃さん、わりと好きだし。

いい小説だった。
短編が積み重なる長編小説。最初の「十六夜」を読んだときは、遅れて漂う「ためらい月」のような物語かと思ったけど。まぁ、「上弦の月」のような。いえ、月でなく「おひさま」のような。人が死ぬのに、先を信じられうような。

「拓郎」がでてくるたびに、なぜか照れてしまう。後半「拓郎ちゃん」などと呼ばれるのだもの。「拓郎ちゃん」の歌が浮かんだり、きゃっきゃと恥ずかしがったり。
平凡でいい人で、余計なことは何も言わないけれど、死を受け入れなければならない人の傍らに自然にいる。いいな、こういう人が最後にいたら。

だいたい、作家が「拓郎」という名の人物を設定したからといって、吉田拓郎を意識しているわけはない。繋げてしまうのは、私の勝手だ。勝手だけれど、「志田拓郎」って、「よ」をつけたら拓郎じゃん、と思ってしまうT_Tこんな小説の読み方をする人っていないよね。
「分類設定」を「本」にしたけれど、「拓郎」にした方がよかったかしら。

・・・などということ抜きにして、私はこの小説が好きだ。短編一つ一つにも味わいがあって。織り成される長編は力強い。それぞれがどんな思いを抱えようと、子犬を抱いて記念写真に納まる最後も・・・「はい。チーズ」と。
ありきたりといえばありきたりだけれど、負担にならない小説の良さ。読後感が心地よい。
ホントは、最初の「十六夜」に一番惹かれているのかもしれなけど、いいんだ、漂う思いは。「朝陽がサン」で。


「朝陽がサン」オフ会のみんなは元気だろうか。