記事一覧

鹿児島(3)

ホテルに着くと、タクシーに人が寄って来る。わ!なになに?・・・ドアを開けてくれる。女性のスタッフが荷物を持って先に立ってくれる。あぁ、ここはホテルなんだ。さすが、昨晩泊まったビジネスホテルとは違うわね。慣れてないので戸惑ってしまう。
「お名前をお呼びしますので、ここに座ってお持ちください」 チェックインが混んでいるのに、ただ立って待たせておくようなことはしない。キビキビと感じが良い。

鹿児島に行こうと思ったのは、新聞の小さなコラムを読んだのが直接のきっかけでした。

「鹿児島で会議が終わって、空港行のバスまでに2時間ほど余裕があったので、タクシー城山まで向かった。
そこには桜島と錦江湾を一望できるホテルがあったはず。10年ほど前、そこのティールームでお茶を飲んだのを思い出したのだ。
ホテルに着くと、記憶通り桜島を望む庭に向かって静かなカフェがあった・・・」というような内容でした。
街の木々の美しさ。ホテルのシャトルバスの窓ガラスがピカピカに磨かれていたことなども書いてありました。
そこに、以前読ませていただいた友人の鹿児島旅行記が重なったのです。
いわゆる名所巡りというのではなく、自分が必要とする場所だけに行き、そこに思いを寄せるような・・・「余計なもは要らない」というのはパンのCM^^;  どこかさっぱりと小気味良く、けれど、深く思いの残る旅行記でした。
娘の所に行く機会があったら、今度は鹿児島に行こう、そう思っていました。

行くならそのホテルに泊まりたいけど、私には無理かなぁ。曜日によっては格安で泊まれるプランがあることを教えて頂きました。早速検索したら、希望の日に一室だけ残ってる。眺望もなくていい、ビジネスホテル並みの設備で十分。錦江湾と桜島を一望できるとう露天風呂に入ればいいのだもの。あのホテルに泊まれる・・・それだけでワクワクしました。

早い時間にチェックインして、何度もお風呂に入ろう。時間によって変化する桜島の表情。雲の流れ。午後と夕暮れどきと、陽が落ちる様子と・・・星と月と・・・そう思っていたのに、、何バタバタしてたんでしょう。ギリギリでホテルに飛び込み、大急ぎで温泉に行き、時計を見ながら支度して、時間スレスレにレストランに入る。ふーぅ間に合った、なんて時間の使い方。馬鹿だなぁ。
それでも、日が暮れようとするラウンジからは、桜島がこんもりと黒い姿をまだ残してくれていて、店員さんの応対も静かで心地よく、7時まではドリンク半額に乗せられて^^;カクテルもお代わりしてしまうのです。

7時までのドリンクメニューには、カクテルは、テキーラ・サンライズとコスモミュールしか載っていない。
♪テキーラ・サンライズ~ は浜省(夏の終わり)。やっぱ浜省より拓郎でしょう。
コスモミュール・・・ポピュラーな、でも懐かしいカクテルを頼みます。

10数年前、拓郎が通っているという評判で、現に拓郎に遭遇したファンもいたらしい、とあるバーに、みんなと時々行っていた。
拓郎抜きにしても、雰囲気もよく、料理もお酒も美味しくて、くつろげるバーだったから。
誰かがコスモミュールを勧める。だって、あれ、甘いでしょ。ここのは違うんだよ。本格的なんだから。それで賞も取ったことあるんだから。ふうん、じゃ、それ。
銅のカップ!?これがほんとなんだ、とその人は自慢げに言う。一口飲んで、あら、美味しい!少しも甘くなんかなく、さっぱりとライムの香りがする。ウオッカベースでほんとは強いカクテルなんですよね。
銅のカップに入ったコスモミュールを、それ以来飲んでいない。他の店ではグラスで出てくるばかりなので、つまらなくて、注文しなくなっていた。

拓郎は、とっくにその店には行っていないのでしょう。あの時一緒だった人たちも、みんな、私の周りから消えた。
私たちの中でブームになって、必ず注文したフローズンダイキリは、この季節、なんのフルーツなのかしら・・・そもそも、その店が、今も同じにあるのかどうか・・・
そんなことを思い出していた。

ファイル 64-1.jpg


運ばれてきたコスモミュールは、あっ!銅のカップに入っている!うれしかった。すこーし甘かったけどね。


和食の店でなく、なぜか、ここで簡単な洋食のコースを頼んでいる。だって、桜島の見えるところに座りたかったんだもの。外は真っ暗になり、水色と白のイルミネーションがチカチカと輝き、景色なんて全く見えなくなっているのに。
オードブル、美味しかった。トマトのペンネも私にはちょうどいい。黒豚と何の肉と言ったっけ?ワインを煮詰めたというソースは、ちょっと濃かったけど。黒豚のトロっとした脂身には合うのかな?ビールと、2杯のコスモミュールと。酔ったはずはないけれど、味、よくわからないや。
部屋に戻り、ベッドにバタン。女性専用というそのお得な部屋は、シングルにしては広いんです。ベッドは大きくふかふか。マッサージチェアと丸いテーブルもある。白いタンスと飲み物とカップの置かれた棚と。カップは、ブランドわからないけど、とても綺麗なの。トイレのドアには白い大きな花も描かれていたっけ。

そうだ!お風呂に行かなくちゃ。私もしぶといですね。寝たのが起き上がって温泉に行く。温泉専用のエレベータがあって、それに乗るときに限り、部屋着とスリッパでいいの。

広島から何度も来ているという女性が、こうして湧いているお湯を、少し熱いから手に取って、手のひらで冷ましてから、ちょんちょんと顔に塗るの。ここのお湯は肌にいいからツルツルになるよ、と教えてくれた。
広島から?そう家族で車で。ここ、好きなのよ。何度も来てる。こともなげにおっしゃる。広島から鹿児島、温泉に入るだけのためには遠いような気もするけど・・・朝食も美味しいのよ。あ、私も頼みました。ここの朝ごはんは一番だからね。
さっき一緒にいたのは娘さんかぁ。言葉遣いからするとお嫁さんかな。言うだけあって、お肌が綺麗で年がわからない。私も顔にちょんちょんとお湯を塗る。

朝、露天風呂で日の出を見たんです。西の国は、日の出が遅い。夫が初めて九州に転勤で来たとき、なかなか日が暮れないから酒がなかなか飲めない、とぼやいていたっけ。
桜島の噴煙がピンクに染まって綺麗だった。
みんな裸で(当たり前^^;)お湯の中に突っ立って日の出を見る・・それは壮観でしたよ。

大きな宴会場の大朝食ブッフェは、客さばきもメニューも、見事というしかない。
私はなんでコーヒーとパンにしているんだろう。慌てて、白和えだの揚げたてさつま揚げだの、鹿児島っぽいものを取りに行く。

どのくらいの宿泊客数なのでしょうね。スタッフは、皆気持ちよくテキパキとして、私はそのテキパキに乗せられて、いつの間にかバスターミナルに来ていた。
出る前に、ちょっとホテルの周りを散歩しようと思っていたのに。時間余っちゃったなぁー。駅前で買い物なんかしてもしょうがないし。遅いより早いほうがいいでしょ。空港に行く。
こういう時のバスは、早いんだよね。あっという間に着いてしまった。鹿児島空港、なんにもなかった

また、鹿児島行きたい・・・錦江湾と桜島に、心を捉えられちゃった。
もう、バスで回ろうなんて考えない。ただ、温泉入って景色を眺め、城山散歩したり。のんびりくつろぐの。
桜島くらいなら行ってもいいかもしれない。港からフェリーで15分だもの。足湯に入りにだけ行くのもいい。今度は観光客いっぱいでさ、大勢が一斉に足を突っ込む。芋の子ならぬ、こんな大根洗うような足湯は嫌だ!ってブーたれたりして。
来年は、わけあって九州に行く機会が増えるかも知れない。そしたら熊本や鹿児島回って帰るんだ。
佐多岬にも行ってみたい。最南端の海は、きっともっと深く青い。寄り道じゃ済まなくなるけどね。
・・・来年は、拓郎ツアーで、その年の予算は、拓郎で使い果たすんだったT_T

ファイル 64-2.jpg

フェリーから見た桜島