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京都に行った(2の2)

電車から何組か降り立ったはずなのに、天狗さんを見ているうちに、おじさん4人組と私しかいなくなってしまった。なんとなく一緒に歩き出す。
仁王門をくぐると、ケーブルカー乗り口がある。「ただやろ」。
ここはお寺さんが運営しているので、係りの人もお坊さんだ。慌てるように「200円頂きます」。「なんや、金取るんかい。ほな、歩こう」4人でどっと笑う。
こういう自分では気が利いたつもりの軽口、嫌いだ。なんで、こういうおじさん、いつもいるんだろう。
面倒なので、やり過ごそうと、ゆっくり歩くけれど、向こうも話をしながらのんびりなので、なかなか別になれない。

由岐神社に着いた。鞍馬寺の鎮守社なのだそうです。
樹齢800年という大杉が迎えてくれる。
今流行りの御朱印が、書置きで何枚も重ねられ、飛ばされないよう石が置かれている。300円を置いて、持っていくようになっているらしい。100円玉がいっぱい。
天狗の形をしたおみくじが、山のように積まれている。これも、勝手に持って行ったりしないんだ。神社だもの、そんな罰当たりなこと。当たり前かもしれないけど、日本人の律儀さに感心する。
お参りをする。手を合わせても、何も浮かばない。わざわざお礼を言うというのが、私らしくない。

おじさんたちは先に行ったらしい。一人はいいけど、誰もいない山道というのも、少し心細い。右に行く。右で合っていたかな。新緑の美しさに浸るというより、心配で足元ばかり見てい歩いているような。
 
これが「九十九折(つづらおり)」かぁ。例の新聞には、ディズニーランドの乗り場にできる行列に似ている、と書いてあったけど、絶対違う。
*新聞記事引用*
__ディズニーランドの乗り場に出来る行列だ。あれもジグザグだから、入り口はすぐ近くに見えても、なかなか進まない。近くて、遠い。 
不謹慎かと思ったが、そう間違った連想でもなかった。道には池があり、お堂、歌碑、自然の奇観・・・。いろいろあって飽きない。信仰の場だが、遊園地を巡るような楽しさもある__

何言ってんの!と自分で歩いてみて思う。それは感じ方はそれぞれだけどさ。なんでワンダーランドなのよ。記事って、とにかく書く事が先行してるよね。この記者は、歩いていて汗をかかなかったんだろうか。平安の昔、幾度も折り返しながら参拝への道を歩く人の姿に思いを馳せても良かったのに。

ディズニーランドは目標の建物を見ながら、ジグザグに並んで進んでいくのかもしれないけど、ここは、本殿を向こうに見ての九十九折じゃない。どこまで行ったら、何度曲がったらたどり着くのか、先の見えない参道なんだ。だから不安にもなるし、必死に足を運ぶ。

ふと、小さな細長い石碑と、札が目に止まる。
「「五町 言清浄 言葉をつつしむ」

メモをする。メモ帳とペン持参で歩くって・・・T_T
これ、もしかしたら「四町」「三町」と続くのじゃないかしら?そう気付くと、目標が出来たようで、足取りも軽くなる。

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あ、あった!
「四町 意清浄 思いをつつしむ」
言葉を慎みなさい、とは言われるけど、思いを慎みなさい、とは言われない。「思いを慎む」なんと自戒に満ちた言葉なんだろう。

「三町 業清浄 清らかに」

「二町 上求菩提 明るく」

さっきのおじさん4人組が下りてくる。「階段は足腰に来るからね」・・・早くもリタイアしたらしい。

この辺りから参道が整備され、明るい雰囲気になってくる。

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「一町 法界参入 安らかに」

登りきった!
30分ほどの道のりというけれど、もっと歩いたような気がする。

本殿の写真は取らないのに、こんなもう終わりの藤の花を撮ったりするんだから^^;

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本殿金堂前の石畳、金剛床には、六芒星という何やら占星術のような図案が描かれ(怒られちゃうね^^;)最大のパワースポットなのだそう。
そこに立って、大きく息を吸い込む・・・そういうことも遠慮しておいた。ポーズが苦手。

御朱印を頂いた。集めているわけではないのだけれど、ここなら頂いていいだろうと思ったから。私なりに頑張って歩いてきたもの。
年配の女性が、丁寧に丁寧に書いて下さる。「良いお参りでした」そう言って渡して下さる。
「尊天」と書いてあるのだそうだ。

「尊天」について、と書かれた神が挟んである。月輪、太陽、大地・・・読むだけで、理解など出来ないのだけど、なんとなく人を祀るのでなく、宇宙の大霊で良かったな、と思う。
・・・宗教の話はパスしよう^^;

九十九折では、ほとんど人と出会わなかったのに、本堂には大勢の人がいた。そこから奥の院に進もうとすると、また人がいなくなる。たまに行き交うのは、皆、一人歩きの男性だ。
鬱蒼とした木々の中を歩く。小雨が降っているのか、木の雫が落ちているのかわからない。ここが木の根道か。左の方に、木の根がのたくった所があったので、そっと一回りしてみる。

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岩盤が地表近くまで迫っているため、根が地中に入り込むことが出来ず、こうして地表に出ているのだとか。それでも、根は這い、木々は太く高くそびえる。生命力の強さを感じる。

元の道に戻って進むと、牛若丸が天狗に兵法を習い、修行したという僧正ガ谷に出る。深い谷の緑が、なんて綺麗なんだろうと思う。足元には木の根が這う。滑らないよう、踏まないよう気をつけて、ゆっくり進む。こんなに木の根が道を這うなら、さっきわざわざ木の根がたくさんある場所に寄り道しなくても良かったな、とちょっと後悔。

「極相樹」という看板を何度も読み返す。
「裸地や、山火事、伐採などで樹木を失った土地には、はじめに光を好む草が生え、ついでマツやナラのような陽樹が入り込む。その日陰にシイやカシなどの陰樹が生え、陰樹が成長して、陽樹を追いやる。すると、最後に陰樹だけの林となり長く安定する。これを極相林という」・・・面白いと思いません?

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「鞍馬山では、このあたり一体が、極相に達した森である。・・・このような森ができるまでには、少なくとも二百年から三百年の歳月が必要・・・」そうなんだ、と頷く。だからといって、森林保護の活動などしないわたしなのだけど、
こんなふうに長い長い歳月をかけて育ってきた森の中を歩いているのだと思うと、神妙な気持ちになる。

やがて、「奥の院」に着く。
不思議だ。静かで、何の音もしない。飾り立てる物はない。地味にひっそりと。霊気を感じるというのなら、ここではないかと思った。抜け出すように後にする。

あとは、ただ、貴船へと道を下る。

登りより下りがキツイと言われるけれど、先月痛めた膝に来る。下りは、杖を使うより、手すりに掴まって、ゆっくり降りた方がいいみたい。
登ってくる、軽装も何も、ひらひらしたスカート姿の女性二人連れとすれ違った。大丈夫なのかしら?途中で諦めて下りてくるかな。

ふーふー、しんどいな、がんばろう。せっせ、せっせ・・・一生懸命足を運んでいると、やがて、聞こえてきた水の音!やったァ、もう少しだ!
道路が見える、川が見える、その向こうに神社が見える。貴船神社だ!ほーっと息を継ぐ。

山の降り口は登り口だ。同じように「愛山料300円」の札がかかっている。でもさ・・・。


貴船神社は、華やかで明るい。若い女性、カップル、鞍馬では見かけなかった外人さんのグループで賑わっていた。
縁結び、水の神様、人気なのだろうね。

見晴らしの良さそうな休憩所があった。ひとまず、そこで休憩。水を飲み、先週次男一家が来たとき、「母の日包装で、少し早いけど」と、お嫁さんがくれた高級チョコとキャンデーを口に入れる。これで元気回復だぁ。
川のせせらぎを聞きながら眺める新緑のもみじ、綺麗だねぇ。写真を撮ろうと思ったけれど、私の写真ではこの色は出ないでしょう。隣の男性二人組が、何かのプランを練ってるらしく、「ここ、ライトアップに合わせて来たらいいんじゃないか」と言っている。
ライトアップかぁ・・・夜はもう無理だなぁ・・・花も、夜桜なんて、何年も見ていない。年よねぇ。

さすがに疲れて、境内を見て回る元気がない。奥宮だけには行って参拝して来よう。奥宮は、巫女さんがたくさんいて華やかだった本殿とは別世界のようにひっそりしていた。


駅までの道を歩き始める。
人気の川床料理。少し想像と違った。ここは、川幅が狭く、左右に梁を渡せて安定しているのだろうけど、川は川でも、渓流だよね。ゴーゴーと流れる川の音は、暑い夏には清涼感たっぷりなのでしょうけれど、私、案外臆病だから。
お店の人が、女性グループに声をかけ、車で駅まで送りますから、と誘っている。もうお昼過ぎだものね。結局、鞍馬から歩き始めて、2時間半くらいかかったのかなぁ。

貴船口駅まで27分、という看板が見える。25分でもなく30分でもなく、なぜ27分なのか、わからない。とにかく歩こう、歩いていれば着くでしょ。と、バス停が見える。バスなどいつ来るかわからないけど、あれ?大勢並んでいる。人が沢山並んでいるということは、もうすぐ来るんだ。私も並んでみよう、と、並んだとたん、バスが来た。なんてラッキーなんでしょ。

叡山電車を降りたら、出町柳で、友人が教えてくれた「鯖寿司ふた切れとおうどん」食べていこう。
ん?商店街ってどこよ。チラシを配っていたインド料理店の人に聞く。「商店街、行きたい?橋を渡って、また渡って、その向こう」と教えてくれた。カレー食べなくてごめんね、と言ったら、にこっと笑ってくれた。

鴨川を渡る。左手は、下鴨神社に行くんだ・・・。通りの向こうに人の列が見える。あれが有名な豆大福の「ふたば」か。
目指すお店はすぐにわかった。わかったけど、シャッターが下りている。えーっ!休み?通りかかったおじさんが、「珍しい。これは突発的な休みだな。普段、休む時は、ちゃんと札をかけていくから」と教えてくれる。
仕方ないので、「ふたば」で豆大福と柏餅味噌餡を買う。これも通りかかったおばさんが、こんなに人が少ないのは珍しい、と教えてくれた。いつもは、長い行列になるらしい。ついているのか、いないのか。
どこかでお昼を食べていこうと思ったけれど、面倒になって、いいや、大福と柏餅で昼にしちゃおう。

ホテルに戻って、お茶と大福のお昼だ。コシのある厚くてしっかりした皮。これは、ふにゃふにゃの大福じゃない。お餅だ!そういえば、「餡の入らない豆餅終了」という札が下がっていたっけ。そう、豆餅の中にアンコが入っている、という感じ。
柏餅も食べてみる。これまた皮がしっかり。味噌餡も美味しい。十分なお昼になった。

まだ時間も早いでの、行こうと思えばどこかに行けたのかもしれないけど、足もパンパンで、もう一つどこかに観光、という気持ちになれない。そう欲張って、あちこち見て歩かなくても。今日は今日で、思うこと沢山あった。来てよかったなぁ、と思ったもの。
明日は明日で楽しみが待っている。明日に備えて、少し休もう・・・横になったら寝てしまったT_T

夕方、お土産を買いに駅まで行く。買いたいお酒があったんだ。駅ビルの酒屋さんにあるらしい。お菓子も少し買っておこう。麻雀会で配るのは「飴」でいいや。
ついでに、夕飯用のお弁当とビールと。一人で外で食べてもね。
明日は、友達がお昼を誘ってくれている。ふふ、なんて嬉しいんでしょう。楽しみなんでしょう。


鞍馬の霊気というものについて、調べればいろいろ出てくるのかもしれない。
ただ私は、登って降りてこられた、その達成感でいっぱい。普通のハイキングコース程度の道のりだったかもしれないけど。
パワーをもらえたとしたら、自分で歩いたことの満足感。
お仕着せのツアーでなく、誰かに連れて行ってもらうでなく、一人で行ったこと。
一人で行くの?誰かいないの?と妹は言っていたけどね。誰が私と旅行してくれるというのよ^0^
旅行券くれた長男に感謝。
そして、今、なんだか夫の最後が可哀想だったな、と。やっと持てた自分の家で、やっと暮らせた、ほんの一年。
最後の一年、幸せだった?うれしかった?・・・ごめんなさい。
旅行会社に勤める先輩のプランとはいえ、私達、なんで「赤目四十八滝→奈良→京都」なんて新婚旅行したんだろうね。
笑っちゃうね。